HOME » 自腹で潜入レポート » この相談所の潜入レポート » エンゼルブーケのお見合いレポ②「大切なのは条件よりも心地良さ」
今回、私がお見合いする方は、以前入会していた結婚相談所でも紹介されたことがある人。身上書と写真を見る限り、お相手はいわゆる3高(高学歴・高収入・高身長)で、温和そうで凛々しく清潔感のある男性でした。そのため以前紹介された時は「私じゃ無理だ」と勝手に思い込んで、お断りしたのですが2度も同じ方を紹介されるなんて、何かのご縁かもしれない。私は、担当スタッフには細かい事情を告げず、お見合いのセッティングをお願いすることにしました。
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お見合い当日の待ち合わせはエンゼルブーケ内ではなく、渋谷にある某ホテルのロビー。お相手と初対面するときの挨拶だけは担当スタッフが立ち会ってくれるものとばかり思っていましたが、スタッフから都合が悪く立会いは難しいと言われました。そして「お相手から声をかけるように伝えているので、当日は時間厳守で現地に向かうように」との指示を受けました。初顔合わせの時には必ずスタッフが仲介に入ると聞いていましたが、どうやら「必ず」ではないようです。
私たちのお見合いが行われるのは、平日の夕方。お相手は仕事帰りですから、スーツ姿のはず。私もそれに合うような格好で、待ち合わせ場所に向かいました。約束の時間より少し前に到着しましたが、お相手の姿が見えなかったので、私はロビーに設置されているソファーに座って待つことに。
数分後、約束の時間がきました。ロビーを見渡したところ、まだお相手の姿はありません。お相手に何かあったのかと気になりましたが、エンゼルブーケからの連絡はなかったため、持参していた本を読みながら待っていました。
「あの、すみません。○○さんですか?」
本を読み始めて少しした頃、ひとりの男性に声をかけられました。初め、私は目の前にいる人が誰なのかさっぱり分かりませんでしたが、お相手の代理で別の男性が来たのかと思い少し戸惑い気味に返事をしました。すると男性は「お待たせしました。○○です」と挨拶を返してきたのです。話す内容からも、私がお見合いを申し込んだお相手に違いありませんでした。
「……これは何かの間違いだ」――それが、私の率直な感想でした。
ダイエットで痩せたとか、不摂生な生活で太ったというわけではなく、写真の面影が見つからないほど何もかもが違っていたのです。寝グセ頭にサイズの大きすぎるジャケットと丈の短いパンツ。ヨレてだらしなく見えるネクタイと汚れの目立つ足元。その見た目から、まるで身だしなみに関心がないのだと分かりました。お相手に対する温和そうで清潔感漂うイメージは、ガラガラと音を立てて崩れていきました。
お見合い用の写真は、自分の良さを最大限に引き出すためにもプロに撮影してもらったほうが良いと思います。でも、プロの技が光りすぎても良くない。メイクやライト、撮影後の補正・修正などで必要以上にプロの力を借りてしまうと、普段とのギャップが大きすぎて返ってマイナスな印象を与えることになるのだと痛感しました。
お相手は待ち合わせに遅れたことを何とも思っていないのか「お待たせしました」と言った以外に謝罪の言葉はありませんでした。人を待たせた場合ひと言謝るのが礼儀では? 遅れると分かった時点で、結婚相談所を通して連絡を入れるなどの対応をしてくれれば、こちらの気持ちも違ったでしょう。
私は適当に思われている気がしました。
私たちはホテルのロビーから場所を移して、食事をすることに。お相手の希望でビアレストランに向かいましたが、互いに緊張していたせいで到着するまで会話らしい会話はほとんどありません。ただ黙々と目的地に向って縦に並んで歩くだけで、お相手に笑顔はなく、良く言えばクール、悪く言えば無表情で冷たい印象でした。
目的地に到着すると、お店は予想以上に混雑していて順番待ちの列が店の外まで連なっていました。夕食どきですし、人気店なら待つのも仕方がないと私は思いました。「結構並んでいますね」と何気なく話しかけると、お相手は「別のところにしますか?」とイラだった口調。不機嫌な返事をされると思わなかった私は困惑し、お相手の機嫌を損ねないようにと、並んでいる間は慎重に言葉を選びました。そのためかテーブルに通される頃には、逃げたい気持ちに……。オーダーした食べ物を待つ間も、流れたのは沈黙と重たい空気だけでした。
その流れが変わったのは、お相手がお酒を口にしてから。気分が良くなったのか、これまで静かだったお相手が突然よく喋るようになりました。ずっと黙られているよりは良いかなぁと思いましたが、アルコールの量と勢いに乗ってお相手の言動は徐々にエスカレート。お相手の質問に対する私の答えはすべて否定され、私からの質問には答えてもらえませんでした。「僕に見合いを申し込んできたのは君でしょ?」と上から目線で言われるたびに、私は傷つきました。私への態度が悪いだけなら我慢もできたのですが、店員さんには命令口調だし、周囲のお客さんをナイフやフォークで指して悪く言うため、一緒にいるだけで恥ずかしくてたまりませんでした。楽しみにしていたデザートはまだでしたが、私はそれを待つのも耐えられず「そろそろ帰りましょう」と切り出し、お見合いはようやく終わりました。
会計は、きっちり割り勘にしました。既に私の中で「お断り」の意志は固まっていましたし、お金を出してもらって変に恩を作りたくないという感情もありました。レストランを出ると、私たちはその場で解散することに。お相手から2件目のお誘いをいただきましたが行く気になれず、お断りして駅付近のカフェにひとり立ち寄り気持ちを落ち着けてから家に帰りました。こんな悲惨なお見合いは生まれて初めてでした。
この日の食事の味は、まったく覚えていません。本当は美味しかったのかもしれませんが、味わう余裕すらないムードの中で食べたので記憶に残っていないのです。身上書と写真を見て「どんな方なのかなぁ?」と思いをめぐらせるだけにしておけば良かったと、お見合いを申し込んだことに後悔しました。そして別々の結婚相談所で同じ人を紹介されて、少しでも運命を感じてしまった自分が本当に情けなく思えました。
社会的に見れば、お相手は「3高」で確かに立派なのかもしれません。しかし周囲を気つかえず自分勝手に振舞うお相手の姿を見ていて、身上書に書いてあったすべてが安っぽく見えてきました。「人は条件とは結婚しないものだ」と誰かが言っていたような気がしますが、今回のお見合いで私はそれを実感しました。長く連れ添うのなら、やっぱり一緒にいて心地いい相手が一番です。
私は、その日のうちにエンゼルブーケにメールで連絡をし、お断りしました。